あたしは間違っていたような気がする。



豊と別れ、宗と付き合い……



大切な人を遠ざけていた。



誰と別れて、誰と付き合っても、友達は変わらない。



大切な人は遠ざけちゃいけなかったんだ。



静香のことも有田のことも、あたしは間違っていた。



そんな事をしたあたしにもまだ優しい言葉をかけてくれる翔を見て、本当に自分の馬鹿さが嫌になる。



「おい」



「ん？」



呼ばれたほうに体を向けると、そこには豊の姿しかない。



屋上にいたみんなはあっという間にいなくなっていた。



「俺はお前たちがここに入ったらドアの前にいるから。安心して話をしろ」



「わかった。じゃあ呼びにいってくる」



内心、不安でいっぱいのあたしは豊に背中を向け歩き出す。



みんながあたしのために移動してくれたんだし、翔だって応援してくれる。



ここで逃げ出すわけには行かないんだ。



一歩一歩足を進めるたびに、宗に殴られた記憶が蘇る。



そして、恐怖にあたしの心は支配されていくんだ。