「そうなんだけど……祐樹には……」



「見せないほうがいいと思いますよ」



話し掛けないと、絶対に話に入ってこない大輔さんがあたしと豊の話に割り込み、あたしの援護をしてくれる。



「ちっ。学校だ」



そんな大輔さんに舌打ちをした豊だけど、納得してくれたらしい。



あたしの家に向かっていた車はUターンをして、学校に向かう。



ウチの学校は制服を着ていかないからって、ごちゃごちゃ言われたりしない。



「大輔さん、色々とありがとうございました」



車を降りる前に大輔さんに丁寧にお礼を言った。



大輔さんの一言がなければ、今頃祐樹の質問攻めを食らってただろう……



絶対、話すまで外出禁止とかだよな。



あたしは豊と少し距離をとって、校舎へと入る。



これから、宗が待っている教室へと向かうんだ。



豊とのことを見られたら、絶対に機嫌が悪くなる……って、今更か。



昨日のことで充分機嫌が悪いはず。



上履きへと履き替え、教室へ向かおうとするだけで、手が震える。



ここは学校、大丈夫。



そう言い聞かせ、一歩目を踏み出そうとした途端……



「どこ行く?」



「ヒャッ!!」



腕を掴まれたのと同時に豊の声がした。



あたしの腕を掴んだのは豊だってわかったけど、それに気付く前に声が先に出てしまっていた。