ニコニコと笑いながらあたしを待つ姿は、千を待つ萌の姿にそっくり。



「おはよう。今日も寒いね」



「はよっ。中で待ってればいいのに」



「少しでもカナの顔が早く見たいからな」



朝っぱらから、こんなセリフよく言えるよな。



あたしは方向を変えて、学校へと歩きだしたその時……



ドスッ



誰かにぶつかった。



「あっ。ごめん。大丈夫?」



聞き覚えのある声が頭の上から降ってくる。



「えっ?カナちん?」



体を離したあたしの顔を昔みたいに覗きこむ翔。



「久しぶり」



あたしは翔を見上げた。



「ホントだね」



2学期になると、学校で豊や翔の姿は見なくなった。



豊が学校へ来なくなったのは、あたしと会いたくないからかな?なんて一時期は思ったりもしたけど、そんなはずはない。



豊は前の女とうまくやっているんだから、あたしのことなんて考えもしないはず。



「じゃあ」とあたしは足を進めようとしたのに、進まない。



翔があたしの腕をしっかりと掴んでいた。