京香を見た時も、綺麗だなと感じたけど、この女の綺麗さは比にならない。



指先まで、一つ一つの動作が洗練されている。



肩の辺りで揃えられてる髪はやっぱり真っ黒で、その黒さが知的に見える。



この制服を着てるってことは実際に頭がいいんだけどさ。



「ふみ。こんな所になんの用だ?」



いつも豊と言い合いばかりしている、あたしでさえゴクリと唾を飲み込んでしまうような豊の低い声。



「久しぶりに会ったのに、そんな嫌な顔しないでほしいな?」



そんな豊に全く動じない女は豊にニコリと微笑んでいた。



「用がないなら帰れ」



豊は女に背中を向けて歩きだす。



「用があるから来たのよ」



「なら、さっさと言え」



豊は振り向くことはなく、足だけを止めて、女の言葉に返事をした。