有田の手に触れようとしたその時、奥さんがあたしに向かってそう叫んだ。



その叫び声と共に動かなくなる体。



「もう関わらないで。貴方達のせいよ」



あたしに向けられた視線は悲しみや怒りが詰まっていた。



あたしはその瞳を見つめていることなど出来なくて、足元に視線を落とした。



人に憎まれる視線。



恨まれる視線。



こんなに痛いものなんだ。



あの頃のあたしもこんな顔してたのだろうか?



アイツらはあたしの視線を痛いと感じていたのだろうか?



「カナ」



動くことができないあたしの手を豊はそっと握ってくれる。



「今日は帰るぞ」



「うん……」