カチカチンと点滅した手術中のランプ。



この中で有田は手術を受けている。



有田の手の温もりが離れた途端に再び震えだすあたしの手。



命に別状はないって一志さんは教えてくれたけど、歩けない足が本当に治るのか心配でたまらない。



どうして有田があんな目に……



ヘブンとは関係のない有田がこんな仕打ちを受けなきゃいけないの? 



あたしの心の中は怒りや不安、恐怖……色んな感情が交ざり合い訳が分からない。



ただ、何故か手の震えが止まらないんだ。



ここに着いてから、この長椅子に座ってから、どのくらいの時間が経過したんだろう……



そんなことすら、わからなくなっているあたしはただ消えそうな赤いランプを眺めていた。



廊下の向こう側からパタパタと誰かの足音が聞こえる。



その足音は段々とあたしに近づいてきて、音が止まった途端に肩を力一杯掴まれた。



「何があったの?」



あたしの視界には年をとった女の人と、若い女の人がうつる。



「ねぇ!!あの人に何があったの?!」



掴まれた肩は何度も上下に揺らされる。



「あなた知ってるんでしょ?!答えなさい!!」



奥さんかな?隣にいるのは娘さん?



あたしが見たことをそのままなんて答えられない。



てか、あのシーンを思い出したくないんだ。



それを口に出して説明するなんてあたしには出来ない。



「どうせあなた達のせいなんでしょ?!どうなのよ?!なんで、あの人がこんな目に……」



あたしの肩に置かれていた手は段々と力が抜けていき、女の人はその場にしゃがみ込んでしまった。



それを支えるように娘らしき人が寄り添っている。