「何であんなこと言うんだよ」
「豊に知られちゃ不味かった?」
「そういうわけじゃないけど……」
「なら帰ろう」
肩に回された手は降ろされることなく校門を出る。
あたし、なに流されてんだろう……
ハッキリ断るべきだろうが!!
明美といい、翔といい、あたしって強く言われると断れないタイプ?!
忘れてた。
あたしは弱い人間だったんだ。
「ちょっとここで待っててね」
そう言い残した翔はどこかへ消えた。
「ハァ~」
もう4月だっていうのに吐いた息は白くなる。
早く夏にならないかな。
冬は寒くてたまらない。


