「廊下は走らないって小学校で習わなかったか?」



「有田」



廊下を猛ダッシュしていたあたしは足を止めた。



「最近来ないな」



「わりぃ。色々あって。明日にでも行くよ」



「楽しみにしてるぞ」



有田の笑顔を見ると怖かった気持ちが少しだけ薄れていく。



あたしは有田に背を向け、歩き出した。



今は一秒でも早く豊の顔が見たい。



「カナ」



そんなあたしを有田は再び呼び止めた。



あたしは階段の途中で振り替える。



「居場所は見つかったか?」



「わかんねぇ」



「見つかったら教えろよ」



「わかった」



今考えるとさ、有田はあたし自身も気付かないあたしの変化に気付いていたのかな?



だから、あんなこと……