「一緒にいたのに、何も言ってくれなかったお前に腹が立った」



「いや……言うべき事だって知らなかったんだよ。今まで祝ってもらったことなんてねぇし」



「はっ?」



目尻なんか垂らして情けない顔をしていた豊の顔は見る見るうちにいつもの表情へと戻っていく。



「なんだよ?」



「祝ってもらったことねぇのか?」



「あーたぶんないと思う」



「ならお前に腹立ててもしょうがねぇな」



「そうなのか?」



「あぁ」



よくわかんないけど、あたしから怒りの矛先がずれたならそれでいいや。



「来年は祝うからな。お前の誕生日は一生忘れねぇ」



「なんでだよ?」