あたし達は少し離れた所に座り、お互いの様子を伺っていた。



先に口を開いたのは豊。



「悪かったな」



突然の謝罪。



何のことだろう?



あたしに謝らなきゃいけないことなんて豊はしていない。



寧ろあたしのほうがみんなに迷惑をかけて謝らなきゃいけないのに。




「あたしのほうこそ……心配かけて……」



先に誤られたせいか、なかなか“ごめんなさい”が出てこない。



「お前の存在を無視したわけじゃないんだ」



あたしの言葉を聞いていなかったように豊は話し出した。



「チームで色々と揉め事があって、頭ん中がそのことでいっぱいだった。真剣に一志さんの話を聞いてたらお前のことが目に入ってなかった」



「そっか」



こんな風にハッキリと目に入ってなかったなんて言われると、やっぱり少し寂しい。



「お前が飛び出していって初めて気付いた。今日の自分の態度に」



「もういいよ。それより揉め事って大丈夫なのか?」



「聞いてくれ」



豊は目じりを少し垂らしながらあたしを見つめてくる。



その顔は反則じゃねぇか?



「わかった」としか言えねぇよ。



「俺はお前の誕生日を教えてもらえなかったことに腹が立った」



「誕生日?」



そういえば、今日屋上でそんな話していたような……