「あたしと大輔さんが一緒に部屋に入った。でも、あたしの存在は見えてないみたいに扱われて……今まではそんなこと平気だったのに、今日はその場にいることも出来なくなって飛び出した」



言ってる意味わかんねぇよな……きっと。



「俺、用事あったんだ。二人ともさっさと帰ってくれよ」



突然、祐樹はそう言いながら立ち上がった。



豊も「わかりました」と玄関へ向かう。



「お前もさっさと帰れ」



「今日はここに……」
 


「もうここにはお前の居場所はねぇよ」



そんな……



確かに勝手に出て行ったのはあたしだけど……



そんな言い方しなくたって。



「カナ帰るぞ」



あたしの名前を優しく呼ぶ豊の声が聞こえる。



渋々豊の後に続き家を出た。



「じゃあな」



手を振る祐樹に頭を下げる豊。



あたし達を追い出した奴に頭なんか下げなくていいのに。



「今日バイクなんだ。寒いか?」



「平気」



気まずいあたし達には今はバイクが丁度いい気がする。



帰り道の無言はきっと辛いだろうから。