「決まりがあるって大事だと思う」



校則なんて守らないし、未成年で煙草を吸っている豊が何を言い出すんだ……



「俺は社会の決まりは守ってねぇな。でも、仲間での決まりは守りてぇと思ってる」



「その区別がよくわかんない」



「俺にもわからねぇ」



「ただ、決まりがすべてなくなった中で生きていけばどうしようもない人間になるような気がする」



「そうなのかな?」



「暴走族なんて世間からしたらどうしようもない奴の集まりだって思われてるだろうけど、俺等には俺等の考えがある。そして、世間よりも厳しい決まりだってある。俺は先輩達を見てすげぇって思った」



そんな事を考えてる豊のほうこそ凄いよ。



あたしは……嫌なものには蓋をして、目を逸らして生きてきたから。



「あたしもそんなふうに思えるかな?」



「あぁ、俺等といれば思えるさ。大切な事を教えてもらえる」



そっか……あたしでも思えるのかな?



豊みたく誇りにできるものができたりするかな?



そんな風に生きてみたい。