家もでかけりゃ、置いてある家具もでかいんだな。



ソファーなんて腰を掛けたらフワフワ過ぎてバランスを崩してしまうし。



どこに座ればいいのか迷ってしまうくらいに長い。



「立ったり座ったり何やってんだよ?」



佐枝子さんは手にお盆を持って帰ってきた。



「でかすぎて、どこに座っていいかわかんなくて」



ギャハハと豪快に笑った佐枝子さんは「私も最初はそうだった」とあたしが座りやすいように先に座ってくれた。



「ここは一志さんの家?」



「そうだよ。アイツんチ。カナって祐樹の妹だったんだってね。驚いたよ」



「もと兄貴」



どこへ行っても祐樹の名前が出ることにいい加減うんざりしていた。



「そうみたいだね。私も一志も同級生だよ」



「そうなんですか」