あたし達は大輔さんの運転する車に乗り込み、車が止まったのは大豪邸の前。



「なんだよ……この家」



高い塀で覆われた中に大きな家がある。



どこまでが家の区切りなのかわからないくらいでかい。



豊と翔は門の前で何かを喋るとギギィーという音と共に門は開かれた。



「さっさと来い」



豊はあたしのほうを振り返り、いつもよりも少し低い声でそう言うと門の中へと入ってしまった。



あたしは小走りで2人のあとを追い掛けた。



「誰の家?」と言ったあたしの声は聞こえていなかったのだろうか……



小声では言ったけど、こんなに近い距離なのに。



2人は一言も言葉を交わすことはないまま、足を動かしている。