「何こんなに持ってきたんだよ」



「わかんない」



「はっ?」



「祐樹と言いあいになったから、慌てて詰め込んで何入れたか覚えてない」



「そうか」



祐樹と口にするとまた少しだけ怒りがこみ上げてきた。



元兄貴の祐樹。



どんなに頑張って思い出してみても、あたしにとっては嫌な思い出しか浮んでこない。



祐樹のせいで。



いや、違う。



祐樹の父親、元のあたしのパパのせいで、あたしの人生は狂わされた。



でも、こうして豊に出会えたのはそのお陰なんだけど……



だからって感謝できるような心境ではない。



豊だってまだわからないし。



あたしの過去を知らないんだから。