「豊に確認取らせるようなずるいやり方は嫌いだ」



「何言ってんの?」



「豊と暮らしたいならお前の口からそう言え」



「馬鹿じゃないの?!あたしはあんたにいちいち確認取る必要ないって言ったのに豊が勝手に電話したんだよ!!あたしとあんたは他人だろ?!あたしの人生に口出せるほど、近い関係でもなんでもないだろうが!!」



タイミング悪く帰ってきた祐樹は、あたしの部屋の前で足を止め、小言を並べ立てる。



そんな言葉聞きたくない。



あたしは喋りながらその辺にあるものを、鞄の中に詰め込んで勢いよく家を出た。



なんなんだよ!!



いきなり家族ずらするな!!



家族にならないって言ったのはお前のほうだろ?!



今更……



腹が立ちすぎて頭がどうにかなりそうだ。



力任せに階段を降り、ふと前を見ると豊が視界に入る。



優しい顔でこっちを見てくれているわけでも、待っていたと声をかけてくれるわけでもないんだけど、その顔を見るとなんだか涙腺が緩む。



あたしは何を血迷ったか、豊の胸の中へと自ら抱き付いてしまった。