「ドン臭いやつだな」



後ろを振り返り、戻ってきてくれた豊は軽々とあたしの体を持ち上げる。



「ほら、さっさと行くぞ」



あたしの前に手を差し出し、前を向く豊。



ゆっくりとその手に自分の手を重ねる。



「あったかい」



「お前は冷たいな」



もういつもの豊に戻っていた。



「つき合わせてごめん」



「別に。たまにはこうして歩くのも悪くない」



あたしもそう思ってた。



誰かとこうして歩くのってそれだけで楽しい気がする。



「星、綺麗だ」



あたしは豊に手を引っ張られているのをいいことに上を見ながら歩いていた。



「また転ぶぞ」



「見て。本当に綺麗なんだって」



豊は足を止め、空を見上げる。