もう前に進む力も、後ろを振り向く勇気もなくて、あたしはその場立ち尽くしていた。 本当は立っていることだってままならない。 このまま崩れて消えてしまいたい。 あたしの存在なんかこの世にあってはいけないようで…… そんなマイナス思考満載のあたしの背中に何かがぶつかった。 それと同時にフワッと鼻に届く香り。 どうして…… 冷たい体を暖かい腕が包み込んでくれる。 どうして…… ねぇ、どうして来たの?