ソファーに誘導され、手は離された。 「何で泣いてんだよ?」 「泣いてねぇ」 ハァ~と大きなため息を吐いた豊は煙草に火をつける。 静まり返る部屋には火をつけたときのジュって音だけが響く。 「何で来たんだよ?」 「…………」 やっぱりあたしのこと避けてたんだ。 会いたくなかったんだ。 豊に軽蔑されていると確信したあたしの涙はピタリと止まる。 変なの…… どちらかわからなくて不安だったときには、どうにかなりそうなくらいだったのに、祐樹から何かを聞き軽蔑されてるとわかった瞬間冷静になれる。