驚いたままの顔で近づいてきた翔。



あたしはすぐに本題へと入る。



「豊いる?」



「いるけど、どうしたの?」



「朝迎えに来なかったから、何かあったのかと思って……豊が教室にいるなんて珍しいね」



「眠いだけだと思うよ。一度寝ると起きないから、今は無理だね」



胸の前で小さなバツを指で作る翔。



「何もないならいいんだ。じゃあ」



「あっ、待って。どこ行くの?」



「暇だし帰ろうかなって……」



「じゃあ玄関まで送ってく」



あたしと翔は沢山の視線の中、歩きだした。