「どうしたの?こんな所に1人で来たら危ないよ」



ここは学校なのに1人で来たら危ないとか、絶対にこの学校はおかしい。



そんなことを思っていたけど、声をかけてくれたことは有難い。



「豊の教室わかんなくて」



「じゃあ一緒に行こう」



親切に豊の教室まで付き合ってくれた男。



あたしは丁寧に頭を下げ、お礼を言った。



2年5組か……



教室の後ろのドアから顔を出し、キョロキョロと豊の姿を探す。



「カナちん?」



翔と目が合った途端に大きな声を出すから、教室にいた人がみんなしてあたしの方を見る。



声がでかいんだよ。



あたしは右手をあげ、翔に向かって手招きする。



「こんなとこまでどうした?」