「早く帰ってくるから、夜には話せよ」と言い残し祐樹は出て行った。



ガチャンと閉まる玄関の音があの日を再現しているかのように虚しく響く。



また……



同じことの繰り返し?



あたしはどこにいても、誰といても過去を背負っていかなきゃいけないの?



もう泣かないと決めたのに……



自分のための涙は最後にしたはずなのに……



溢れ出す涙を止めることができなかった。