朝起きると下唇が紫色に染まり、頬もふっくりと腫れていた。



「腫れたな」



いつもはいない祐樹が朝からごちゃごちゃとうるさい。



「お前弁当持って行かない時はどうしてるんだ?」



今更、そんなことに答える気もしない。



あたしはパンをくわえたまま家を出た。



「おいっ!!カナ!!」と後ろから声がしたけど振り返ることはしない。



ちょっと怪我したくらいで、態度変えるなよな。



鬱陶しくてしょうがない。



階段を降りた所にある、石段に腰掛け残りのパンを食べきった。



スカートの上に落ちたパンくずを落とすために立ち上がるとタイミング良く、黒のセダンが向かいの道路に横付けされた。



「はよぉ~」



車に乗り込むと右側に物凄い視線を感じる。