「ありがとな」 顔を見てなければ、少しは素直になれる。 「おう」 お姫様抱っこをされたあたしはそのまま部屋の中へと連れて行かれた。 「ここに座っとけ」 「うん」 豊が畳の部屋へと行くと、秀がドタドタと家の中へ入ってきた。 「今日は解散にするか?」 「あぁ」 豊は秀の顔を見ないで、返事をすると秀はそのまま部屋を出て行った。 豊はあたしに手当てをしてくれて、濡れたタオルで手や顔までも綺麗に拭いてくれる。 「悪かったな」 あたしの手を握りながら豊は頭を下げる。 「なんで豊が謝るんだよ」