いつものように家の近くに止まっている黒いセダン。



「おはよう」



ドアを開き中を覗くと「おはようさーん」と相変わらずテンションの高い翔。



これはラッキーと思いあたしは中に乗り込んだ。



「大輔さん、北総合病院までお願いします」



えっ?!という顔であたしのほうを振り返る大輔さんと共に、「はっ?!」とご機嫌斜めの豊の声。



「事情は病院に着いたら話すから。だからこの通り」



あたしは大輔さんに向かって頭を下げ、顔の前で両手を合わせた。



「わかりました」



大輔さんは前を向きなおし、車を走らせる。



「おい」



豊は身を乗り出し大輔さんを止めようとするけど、大輔さんは無視。



その態度に豊は諦めたのかシートにドスッとよしかかった。