あたし達は豊の前にあるソファーに座ったけど、豊は一向に立ち上がる素振りを見せない。



「行かないのか?」



痺れを切らした翔が豊に声をかける。



「あぁ」



「お前が行かないと、静香ずっと待ってる気だぞ」



「ほっとけ。俺にはもう関係ない」



確かにもう豊の彼女じゃないんだから関係はない。



でも、翔がなんだか可哀想だ。



「俺が行ってもいいか?」



「俺に断る理由なんてない」



翔は豊の言葉を聞いた後、ゆっくりと立ち上がった。



「少し待ってて」とあたしに笑顔を向けて。