「でも、好きな人だか、彼女がいるからって相手にしてなかったけどね。硬派なところもモテた理由」



「そうなんだ。じゃあ別れたの?」



「あれ?今の豊先輩の彼女じゃなかったかな?明美物覚え悪いからわかんないや~」



明美の言葉に何かが繋がった。



豊が言った、翔に恨まれてるという言葉。



そして、翔の可笑しな言動と行動。



あたしは話の途中で屋上に向かって走り出していた。



どうしたいのか、何をしたいのかわからないけど、全速力で走り出した足は止まらない。



「ハァハァハァ」



勢いよく屋上の扉を開いたけど、そこに翔の姿はない。



「豊」



あたしの目の前には豊が仁王立ちしている。



用があるのはお前じゃないんだよ。



久しぶりに走ったせいで、あがった息がおさまらない。



「ドタドタとうるせぇ奴だな」



「翔知らない?」



肩で息をしながら豊を見上げる。