その瞬間、わかった。
彼の痛みが音に共鳴したって。
それは壮絶な物語の序章であり、今日の最期でもあったのだ。

それは、村合同の祭典。
隣の村とは、和解記念のお祭りがある。3年に一度の大きな行事だ。



僕は、その催しのトリ、つまりは合同演奏の歌い手を任されていた。
和解記念と称しお互いの村から一人を指名して、公民館のホールで歌を歌う、というもの。

僕はそれを聞かされたとき、何故だかため息がでたのを覚えてる。
あー、嵌めやがったな。なんて、思ったけどそれと同時にきっと白乘村の人もロクな人材ではないとちょっぴり同情した。