卒業式に歌ったのは、最近流行りのバンドの曲を合唱にアレンジしたもので、僕はその歌詞の意味を掴めることなく本番を迎えた。

めまいがするよな綺麗な空………ね。
多分澄み渡った青空なんてもんを指すんだろうなぁと、一人思った。

「めまいがするよな綺麗な空……………」

僕が再度繰り返すと、彼女は穏やかに笑んだ。

「どんな空だろうね」

「青空?」

「君にとっては?」


「いーやー」
そう言って空を見た。
やっぱりかき氷のブルーハワイのような、青を青にした、とりあえず晴天。
僕はもう着ないであろう制服をもどかしく感じながら、君に聞いた。

「あんたは?」

「わたしー?」

彼女はガヤガヤとはしゃぐ皆をもよそ目に、至って冷静にコツコツとローファーで地面を叩いた。