彼がダン!!!!と鍵盤を強く叩いた。
僕はそれと同時に足音を鳴らす。
その頃にはもう何も言う人はいなかった。
僕らは今 自分を超えようとしているのかも知れない。
弱かった自分を変えようとしているのかも知れない。
幸せを守ろうとしているのかも知れない。
とっても些細な、些細な事だけれども。
それなら
僕らは
同じ、皆と
同じなんだよ。
演奏が終わる間際。
二人の間でしっかりと結びついた。
その瞬間、わかった。
僕らの痛みが共鳴したって。
それは新たな物語の序章であり、今日の最期でもあったのだ。
僕らはまだ
お互いの名前も知らない。


