「ごめんな、健永のわがままでこんなことになっちゃって。」
と、申し訳なさそうに謝る春くんに私は首を横に振った。
だって、春くんが謝ることなんて何もないし。
それに、春くんとふたりきりで観覧車に乗るのも全然嫌じゃない。
むしろ少し嬉しいくらいだもん。
「今日は、楽しかったな。」
「うん!本当に!こんなにはしゃいだのいつぶりだろう?」
本当にあっという間だったな。
楽しい時間って、想像を遥かに超えるスピードで過ぎていっちゃう。
だから、もう終わりなんだなって考えると、とても寂しい。
「あのふたり、何話してるのかちょっと気になるな(笑)」
「たしかに!」
と、ふたりで微笑みあった。
そして。
「うわー.....」
頂上付近から見下ろした景色に、私は絶句してしまった。
あまりにも綺麗だったから。
全体がオレンジに染って、キラキラと光り輝く街の光。
こんなに綺麗に見えるなんて思ってなかった。
「めちゃくちゃ綺麗だな!」
「うんっ!目に焼き付けなきゃ!」