「春くんにもらったキーホルダー、すごいお気に入り!」
と、カバンをちらっと見ながら華が言う。
見た瞬間、華にピッタリだと思った直感は間違っていなかった。
「喜んでもらえてこれも嬉しいよ。」
そんな、心の底から嬉しいという顔をされて、嫌な気持ちになる人はまずいない。
あげたときにしてくれた顔と同じくらい嬉しそうな顔。
こっちこそ、あげてよかったって思える。
「こらー!華!私の事放置して、桜庭くんとラブラブしてーっ!!」
少しすると、広瀬が頬をふくらませながら俺たちの元へやってきた。
「ごめん、ごめん!」と、広瀬の頭をなでる華。
そんなふたりのやり取りに微笑む俺。
そして、登校してきた健永が合流する。
毎日の日課になりつつあるこの光景。
4人でいる時は、みんなが笑顔で。
くだらない話をして。
出会って数週間だとは思えないほどに仲が良かった。
俺は、こんな何気ない幸せがずっと続けばいいのに、と密かに願っていた。