ヒラヒラと桜が舞う季節。



暖かい春の陽に、風と遊ぶように舞い踊る桜の花びら。




桜の木が立ち並ぶ、並木道をひとり歩く。




ブワッと、暖かい春風が吹き私の髪の毛を揺らした。






春は、暖かくて。だけどどこか寂しい。




桜の木を揺らす春風に当たると、心が温まるような、だけど切なくて、泣きそうになるような。そんな複雑な気持ちになる。




「....っ...」





不意に流れてきそうになった涙を流さないよう、歩いていた足を止めて空を見上げた。




青く澄んだ空。白い雲がゆっくりと流れている。




空に舞い散る桜がとても綺麗で。




なのに、こらえきれなくなった涙は静かに頬を伝った。





「パパ.....ママ.......」




私、高校生になったよ。



今日から、女子高生だよ。




そう、空に向かって問いかける。




もちろん返事なんてないけれど。





そう。私はこれから行われる高校の入学式への道のりを歩いている途中。




新しい制服に身を包み、今日から晴れて高校生になる。




フワッと私を包み込むように吹いた風は、まるでパパとママが私の高校入学をお祝いしてくれてるみたいで。