見ていて、少しだけ感傷的になる。






感情を普通にもってしまう。






また、鈍ったな。







争いのない世に慣れてしまっている。







そんな事を考えながら、刀を手に取る。






私の家に代々継がれている刀だ。






『天風-テンフウ-』






良い刀だよ。






妖刀だし。






でも、あまり有名ではない刀。







と言うよりも、ほぼ私の家の者しか知らない刀。






当たり前だけど。






名前の由来は、またも一家の先代の名前から。






今はもう、私の他に知る人もいない刀。






刀を鞘から抜く。



キラリと刃が反射する。







使われなくなっても、毎日必ず手入れを忘れないからだ。