千葉県、某所。

瑞穂ちゃんは中学時代に所属していた部活のダンスをずっと続けていたらしく、現在はテーマパークのダンサーとして働いていることを知った。

私は瑞穂ちゃんの住んでいる部屋の住所と携帯電話の番号を教えてもらい、電車を乗り継ぎ地図を片手に千葉までやって来ていた。


仕事先のテーマパークに一人で入ったところで、瑞穂ちゃんに会えるわけではないだろうし。
第一、カップルや家族連れが多い場所に、独りで入ることは中々の勇気がいる。

テーマパークに入る事は諦め、直接瑞穂ちゃんの部屋に突撃訪問することに決めた。


「地図だとこの辺なんだけどなぁ」


キョロキョロと、初めて歩く千葉の街で完全に迷子状態の私は、さっきから同じ場所をグルグルと歩き回っている。


そんな私を何時から見ていたのか「お困りですか?」と声をかけてくれたオシャレなご婦人に、申し訳なさ気に地図を見せ、助けてもらう。


「この先を右に曲がると、目的のアパートよ」と優し気に笑うご婦人は、とても素敵な雰囲気を纏っていて。
ご婦人の優しさが全身からにじみ出ているみたいに感じ、自然とご婦人に見とれてしまった。


「どうかされました? まだ何かお困りかしら?」

「あっ、いえ。ありがとうございました。助かりました」