ふと昔の記憶が蘇り、懐かしさに目を細めると……あのときの言葉がせせらぎのように心地良く響く。

『……悲しみに目を逸らす必要がどこにある……
重きを置くは消えゆく命をただ嘆くか、称えるかであろう……?』

 言葉は少ないながらも、そう教えを説いてくれたその王は当時から他の王とはどこか違う異彩を放っており……彼の言葉にキュリオが光を見たのはいうまでもない。

(――しばらく顔を見ていないな、彼は元気だろうか……――)

 年を重ね、深みが増した家臣の背を見つめながら旧友に思いを馳せるキュリオだった。