「自己都合で、みんなに迷惑をかけてすまなかった」
彼は、頭を下げて謝った。
一人一人の顔を見ながら話す。
「今日から精一杯働くから、よろしくお願いします」
酷くやつれた様子だったり、暗い表情だったりしたら、少しだけ気分が晴れるのに。
荻野君は、二日酔いで気分がすぐれないとか、悩みすぎて疲れた様子もなく、いつも通りに会社に来ていた。
「一応、提出してもらった報告書は読ませてもらった。進捗状況だけ確認させてもらう。
俺と、主任で話を聞くから、一人ずつ報告してくれるかな?
まず、白石から。あとの二人は、順番が来たら、呼びに行くから」
疲れているとしたら、私が送った報告書を、隅々まで読み込んで、一つ一つにコメントを書いてたせいだ。
メモ書きされた資料には、びっちりと細かい字が書きこまれている。
私の方は、仕事の事なんて、考える余裕なんてなかった。
彼は、私の視線に気が付いたのかもしれない。
資料を見ながら言ってきた。
「この報告書、よくできてるね。おかげで助かったよ」
「そのくらいしかできなくて」
「そんなことない」
小さくて、消えそうな声だった。
何か言おうとしたけど、
「よろしいですか?」
という、白石君の声に遮られた。


