荻野君は、ようやく出社してきた。


「もう、大丈夫なのか?」彼は、口々にそう言われてる。

勘違いして、彼の体を気遣うもの、あえて触れないようにするもの、反応はいろいろだった。

「おはようございます」



私は、ずっと見守る方で、彼に関しては、ずっとそういう態度に徹しているつもりだった。

今までそうしてきたように、同じように接すればいいだけ。

何も難しいことはない。


「おはよう。報告書ありがとう。余計な仕事させてしまったね。申し訳ない」

「いいえ」

荻野君、謝ってくれるのは、そのことだけ?

「課長?打ち合わせって、朝一でよかったんですよね?会議室、取ってありますから」
梨花ちゃんが普段通り接してる。

「ありがとう」
荻野君、ちゃんと話しかけて来た相手に笑ってる。