二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

そう思った時だった。

「伸二さん?お客さん?」
奥の方から、女の子の声がした。

「ああ」

彼は、部屋の中を振り返って答えている。

「中に上がってもらったら?」
明るい、屈託のない声が聞こえて来た。

「ああ」
諦めたような、覚悟を決めたようなしっかりとした声。
いつもの彼の声だった。

久しぶりに会ったっていう割には、戸惑ってた理由が分かった。

「いいの。今日は様子を見に来ただけだから。ここでお暇します」

廊下を歩いてくる音がして、20歳くらいの女の子が顔を出した。


可愛い子。


彼女は、訪ねてやって来たのではなく、朝からずっと着ていた部屋着のような姿で彼の横に並んで立った。

この寒いのに、短めのショートパンツをはいて、そこから長いほっそりとした足が伸びている。

「伸二さん、会社の人でしょ?上がってもらったら?」

「ああ、そうだね」
歯切れが悪そうに言う。