本当に、珍しいことに、終業時間までにやる事を終えてしまった。
作業をする手を止めて、私は、ぼんやりと、窓の外に広がっている暮れていくオレンジ色の空を見ていた。
後ろから、声をかけられた。
「主任?久しぶりにこの後、みんなで飲みに行きませんか?」
白石君が声をかけて来た。
私は、時計をちらっと見る。
「ごめん、新井さんや平田さん誘って。私は、用事があってすぐに行かなければならないの」
「デートですか?」
「だといけど」
やっぱり、課長の判断を仰がなくては。
これからは、先に進めないケースがいくつも出て来て、仕事も先に進めないままになってるものも出て来た。
白石君も、そういった状況じゃなければ、早く帰るなんて言わないだろう。


