二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~


私は、三課に戻ると、席で作業をしていた新井さんのところに行った。

「すみません、今日の午後から入っている打ち合わせの件で、すこしお話してもいいですか?」
新井さんが、パソコンに向かって入力作業をしていた。

「はい」
彼は、作業をする手を止めた。メガネをかけた、真面目そうな顔が一瞬だけ私の方を向いた。

「えっと、一時から入ってるineホームさんとの打ち合わせなんだけど、
荻野課長が新井さんなら、技術的な質問に答えられるから、
同席してもらってって指示されてるんだけど。お願いしても、大丈夫ですか?」

「はい、俺の方は大丈夫ですよ」
彼はそういうと、また作業に戻った。

「では、お願いします」

私は、今のやり取りを聞いていた梨花ちゃんに、はっきりと聞こえるように言う。

「梨花ちゃん、打ち合わせのための会議室取っておいてくれるかな。1時でineホームさんと」