二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

脱衣所に、携帯を置いたまま湯船につかる。

荻野君からは、未だに連絡がなかった。
さすがに、お風呂から出たら連絡してみよう。

どうなってるのか、全く想像もつかない。

余裕があったら、電話ぐらいしてくれてるはずだ。

「よっぽど、大変だったのかな」

お風呂から上がって、部屋着に着替えたところで、着信音に気がついた。

高岡さんからのメールで、

――すまない。早速、母に白状させられた。口裏合わせておいて

と書かれていた。

分かりましたと返事を送る。


髪を乾かしていると、今度は電話が鳴った。

「もしもし」
高岡さんだと思って、電話に出た。



「高岡さん?どうかしましたか?」

「高岡って誰?」

高岡さんじゃない。
荻野君の声だ。

「荻野君?荻野君だったの?ごめん。間違えてた」

「ああ、そう。えっと時間ないんだ。ごめん」

「ん、どうしたの?」

「悪いけど、会社2日ほど休む。詳しいことは部長に話してあるから」

「どうしたの?彼女そんなに悪いの?」

「今は、落ち着いている。大丈夫だ」

「うん」

「迷惑かけてごめん」

「いいよ。そんなの」

「悪い。そういうことだから。また連絡する」