二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

高岡さんとは、そのままホテルのロビーで別れた。

私はそのまま、まっすぐ家に帰った。

案の定、母が家で首を長くして私の帰りを待っていて、叔母も家に帰らずに私の帰りを待っていた。

キッチンのテーブルには、誕生日会でもするのかというごちそうが並んでいて、すき焼きでもするのか、大皿にお肉が並べてあり、お刺身とワインに高級チーズ。

ちぐはぐな料理が並んでいた。
姉妹で好みが違うから、いつも叔母が来るとこういうことになる。

「葉子、帯とくからこっちへ来て」

「はい」

母に言われるまま、奥の和室に向かう。

ひんやりとした部屋にエアコンのモーター音が響く。


「遅かったのね」

「そう?」

「すぐに帰ってくると思ってたのに」

「ん、一応、それじゃあまずいってことになったんだと思うよ」

「何ですか、その人ごとみたいな言い方は」
母は、いつもきちっと手順をこなして、よっぽどじゃないと手を抜いたりはしない。

小さい時は、それが当たり前だと思ってたけれど、このところは、少し息苦しく感じたりしている。