二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「驚いたな。あ葉子がお見合い受けるなんて」

「見事に押し切られちゃったの。もう、31歳だからって」

「叔母さん、その頃結婚してたっけ?」

「いいえ。その歳なら離婚して一人に戻ってたわ」

「本当?」

「ええ」


そうやって、いつもさりげなくいう。
叔母が私の年だった頃には、すでに私より多くの経験をしている。

だから、大好きなんだ。
いいことも、悪いことも冷静な立場で教えてくれるから。


「そっか。私なんかまだまだだね」
経験不足だって、いろいろあるんだよ。
どうしたらいいのか分からないことが。

「葉子は、結婚したいって思ってるの?」

「ん……よくわからない。前は、結婚したいって思ってたけど。年齢的には、そうしなきゃいけないんだろうけど……」

やだな……

涙が出そう。

せっかく自分の気持ちに気付けたのに。
荻野君への気持ちが分かって、それが相手にも届いたっていうのに。

私は、彼の真意を確かめることが出来なくて、
お見合いを断って、母をがっかりさせることもできない。

何やってるんだか。

「どうしよう」
まるで、三歳の子供に戻ったみたいだ。

「まあ、そんなに焦らなくていいから、ゆっくり考えればいいんだから」

私は、由利子叔母のように、離婚を決意して、ずっと仕事をしてきた、あなたのようなバイタリティを持っていない。

そう言いかけて止めた。

今、由利子叔母に説教されたら、本当に泣き出してしまいそう。