叔母さん、髪を短く切ったんだ。何となくさっぱりした印象を受ける。
「それで?今日は泊っていくんでしょ?」
沈んでた気持ちが少し明るくなった。
母と二人だけだと気が滅入ってしまう。
由利子叔母さんは、私の母の妹で50歳を過ぎた今でも、第一線で働いている。
ほとんど仕事に付かず、ずっと家庭で過ごしてきた母とは、何もかもが正反対で、若い時に一度結婚してたけれど、結局は仕事を選んだという経歴の持ち主だ。
「葉子、明日はやっぱりお着物にするわね」
「ああ、だからカシミアの……」
「ダメよ。家の中にあるものは着ていけないって言ってあったでしょ?」
「母さん、わかったって。もう、明日は好きなだけ飾り付けてよ」
すっかり忘れてたな。どうしよう。
最悪だな、これは。
母に押し切られて、振袖になりそう。


