彼は、食堂のテーブルの上に、食べかけの食事も放り出して、飛び出していくように行ってしまった。
いくら慌てても、こんな中途半端なこと、決してしない彼なのに。
よっぽど慌てたんだね。
大学って言ってたから。
綾香さんて、妹さんかな。
大丈夫かな。無事だといいのだけれど。
落ち着くようにと、誰もいなくなった食堂ですっかり冷え切ってしまったお茶をすする。
手が震えていた。
やっぱり、彼について行ってあげればよかったかなと反省した。
気が動転していたし、考え事しながら長い距離を走らなければならない。
。
そんな時に運転するのは、危ないかも知れない。
私は、二人分のトレイをカウンターに持って行った。
どうやって帰ろうかな。
さっきの研究室に寄って、バスの便があるか聞かなければ。
土曜日でも、バス来るといいんだけどな。
綾香ちゃん。大学で具合悪くなったのかな。
彼って、妹なんかいたかなあと思いつつ研究室に向かった。


