「所長に用があるから、失礼します」
「嫉妬深いやつだなあ。ねえ、彼女?こんなやつ、きっと先が思いやられるよ」
「はあ」
荻野君、ここでは、私が思ってたのと正反対の人物みたいだ。
彼は、私を押し出しようにして、部屋から出した。
私達は、加藤さんという男性の横をすり抜けて奥の部屋に入って行った。
「あの人、冗談じゃないくらい手が早いんだから。近づいちゃだめだよ」
真剣にそんなこと言う。
「手が早いって、人を何だと思ってるのよ」
「俺、今まで黙ってたけど、ああして話しかけてる他の男の唾が、葉子さんの顔にかかるのだっていやだから」
「あのね、荻野君」
「何、その顔?驚いてるの?でも、そう思ってしまうんだから仕方ないだろう?」
荻野君は、研究室のドアを開けてお目当ての人物を見つけたのか、
「田島所長!」と背中を向けていた中年の男性に声をかけた。
その男性が振り返ると、私達に嬉しそうな顔を向けた。
「なんだ、忙しくて来られないって言っておきながら、彼女連れて来たのか?」
研究所の所長、田島さんだ。
私も名簿や資料で名前だけは知っている。
「嫉妬深いやつだなあ。ねえ、彼女?こんなやつ、きっと先が思いやられるよ」
「はあ」
荻野君、ここでは、私が思ってたのと正反対の人物みたいだ。
彼は、私を押し出しようにして、部屋から出した。
私達は、加藤さんという男性の横をすり抜けて奥の部屋に入って行った。
「あの人、冗談じゃないくらい手が早いんだから。近づいちゃだめだよ」
真剣にそんなこと言う。
「手が早いって、人を何だと思ってるのよ」
「俺、今まで黙ってたけど、ああして話しかけてる他の男の唾が、葉子さんの顔にかかるのだっていやだから」
「あのね、荻野君」
「何、その顔?驚いてるの?でも、そう思ってしまうんだから仕方ないだろう?」
荻野君は、研究室のドアを開けてお目当ての人物を見つけたのか、
「田島所長!」と背中を向けていた中年の男性に声をかけた。
その男性が振り返ると、私達に嬉しそうな顔を向けた。
「なんだ、忙しくて来られないって言っておきながら、彼女連れて来たのか?」
研究所の所長、田島さんだ。
私も名簿や資料で名前だけは知っている。


