『えっと、荻野くん、前に言ったよね。報告書ちゃんと書いてみようか』
そろそろ慣れて来て、一人で顧客を担当してみようかっていう頃だった。

彼も、顧客の前で話すことは、だいぶ慣れて来た。
でも、すんなりと契約までは至らない。
なんでだろうって本人も焦ってるはず。

いったん、どこがダメだったのか、考えてみようと宿題を与えていた。

しばらく様子を見ても、自分で解決している様子が見られないから、頃合いを見て声をかけた。

『一人でできます』
『そうだね。でも、ちょっと気になることがあるから、確認してみたいんだけどな』
『でも、今忙しいんで』取り付く島もない。

『そっか。でもね、一時間後も、二時間後も忙しいと思うけど』
『それは、そうですけど』

遠まわしな言い方は、止めよう。
私は、単刀直入にはっきりといった。