「明日って?明日は何もないでしょう?
お見合いは日曜日じゃないの。お母さん、私は明日は、仕事に行かなきゃならなくなったの。
だから洋服を見に行くなんて無理よ」
リビングのソファに倒れ込むように腰かける。
「仕事って、お見合いに来ていく服、どうするのよ」
母は、土曜日の行動をどうするのか一日考えてたみたいに言う。
「着るものは、任せるから。クローゼットの中から適当に選んでおいてよ」
ああ、もう好きにしてよ。
相手が、着ているものが、ダサいとか、みすぼらしいと言って断ってくるんならそれでいいじゃないの。
と、私は思うんだけど。
母は、父の世話をしてた情熱を私に注ごうとしている。
「ダメよ。ちゃんとした席なんだから、やっぱりお着物にした方がよかったのに」
私は、飛び起きた。
「冗談じゃない。着付けや髪のセットまで頼んで、1日がかりになるじゃないの。お願いだから、それだけは止めてね」
「だって、こっちはお父さんがいない分、ちゃんとしてないと……」
また、これだ。
こう言われてしまうと、断れない。


