週末、結局押し切られて、私と伸二君は遊園地に出かけた。
寒々とした空気の中、遊園地に着た親子連れも疎らだ。
「どうする?これじゃ、一時間もどこかに隠れてるだけでも大変だよ?」
「お昼を狙っていくか?」
「ええっ、そこまで持たせるの?だったら昼から来ればよかったじゃない」
お昼にまた来ようよ。と言いかけた時、伸二君が私の腕を引っ張った。
「ああっ、来た。彼女だ」
明るめの髪をゆるくまとめて、落ち着いた柔らかい雰囲気の女性だ。
短めの革のジャケットにベージュのタイトスカート、ショートブーツを合わせている。
格好いい。
さすがに高岡さんが惚れるくらいの人だ。
「本当に、40歳過ぎてんだ。わかんないもんだな」
しみじみ彼女を見ながらつぶやく伸二君。
「若く見えるね」
「ああ」
小さな男の子が高岡さんにじゃれついてる。
傍から見ると、本当の親子みたいだ。
「いい雰囲気なのにね」
「どうしてダメなんだ?高岡さんも真剣なのに」
「真剣だから、ダメだって言うのかも」
伸二君も分かってない。
「わかんないな」首をかしげてる。
「これから……私は、高岡さんに横恋慕するストーカー女になるけど。覚悟はできてる?」
「ダメ……
嘘でも、君が他の男を好きだって言うのは、見たくない」
彼は、腕を引き寄せ抱きしめる。
それなのに。
「けど、約束したからな。行って来いよ!」
私は、二人の前に彼に押し出されるように前に出た。
「葉子?」高岡さんの驚いた顔。
予定より、だいぶ早いんじゃない?
彼女の方は、息をのむようにして、一瞬だけ目大きくした。


